夕方、恐ろしいほどの虚無感が襲ってきた。
昼過ぎ、美容院から帰ってきた途端に、立っていられないほどの睡魔が突然やってきた。ボクサーに蟀谷へのストレートパンチを喰らった選手のようにベッドに倒れこみ、そのまま二時間爆睡していた。目が覚めた時はすでに夕方五時を過ぎていて、クーラーを消し忘れていたので身体は随分と冷えていた。
目が覚めた途端、例えようのない虚無感が身の周りを取り巻いていた。久々のこの感覚に恐怖心を覚えつつ、スーパーへと買い出しに向かう。
週末のスーパーは家族連れが多い。咄嗟に、ここに来たのは間違いだったと気が付く。
独り身の私が、昼寝後の虚無感を味わった後に目の当たりにする「家族の光景」ほど刺激的なものはない。これは個人的な見解だから必ずしもそうだとは言い切れないけれど、どの家族も皆幸せそうに見える。特に私と同年代であろう女性が子供を連れていると、虚しさは倍増する。嫉妬とは違う、なんなんだろうこの感覚は。
当たり前だけどレジは混んでいた。待っているのがしんどかった。馬鹿みたいな話だけど、スーパーで溢れ出そうな涙をこらえていたのだ。
ひとりは好きだけど、たまには誰かに寄り添ってもらいたい。厄介な性格だ、まったく私というやつは。
スーパーには週に一回程度買い出しに行きますが、たいてい二千円以内に収まります。しかし今日は2,811円也。ちょっとオーバーした。
和だか洋だか、朝食か夕食かもわからない晩飯。
麻婆豆腐、マフィン(チーズ/バターと蜂蜜)、スーパーのお惣菜(ささみチーズ揚げ)、トマト。
ごはん食べたらあの虚無感は消えていた。単にお腹空いていただけなのかも。
部屋にカメムシが出現した。モンスターボールの代わりに、病院の領収書で捕まえて外に逃がした。臭くはなかったのがせめてもの救い。
その②に続く。