ふと、家族が恋しくなる。
21:10まで残業をし、帰宅後、作り置きしたごはんを食べた。慌ただしい、戦場のような職場を逃げるようにして帰ったあとのごはんは、格別に美味しい気がする。体中にそのうまみがじんわりと染みこんでいくようで、まさに至福の時間。
食後、洗い物しなくちゃなぁ、おふろにも入らなくちゃなぁ。そんなことをぼんやりと考えていると、ふと、故郷の家族が恋しくなった。
故郷と言うのは大袈裟すぎるが、車で一時間の場所に私の実家はある。国道が通っているし案外車の往来も多い土地ではあるけれど、コンビニが一件もないという、いわゆるど田舎の村である。過疎地域にも認定されていて、若年層を筆頭に村内人口が急激に減りつつある村だ。
故郷には父、母、弟の3人、そして今年で三歳になったうさちゃん一羽がいる。祖父は私が中学一年生のとき、祖母は私が26歳のときに亡くなった。おじいちゃん、おばあちゃん子だった私は小さいころから祖父母によく懐き遊んだ。学校から帰ると山に沢に川にとあちらこちらに出向き、元気よく野山をかけまわる田舎娘だった。
この家族に暗雲が立ち込め始めたのは、私が小学生高学年の頃だったと記憶している。父のアルコール問題で母がノイローゼになり、度々大戦争が勃発した。子供時代はいつ両親が離婚するのかと毎日怖くてたまらなかったし、小学校高学年で受けたいじめ問題も相まって、この土地から一刻も早く逃げ去りたいと思っていた。
幸いにも両親は離婚することなく今にいたるのだが、今思えばあの出来事があったお陰で私のメンタルはずいぶんと鍛えられた。私が二十歳の頃に目の当たりにしたとある騒動は、人生至上最大のトラウマになるほどの恐怖心を煽られたものの、今では「人生いろいろあるのよ~、それも人生、これも人生~♪」と鼻歌交じりに笑い飛ばせるまでにもなった。まあ、それは私が能天気だからかもしれないけれど。
話がなぜか過去の想い出話に逸れてしまった。話をもとに戻すと、そんな一癖も二癖もあるこの家族を、今日とても愛おしく感じた。そしてとても会いたいと思った。
なぜ、こんなにも愛おしく思うのだろう。単に私がホームシックになっているからなのだろうか。それとも仕事で疲れたから、家族のぬくもりに埋もれたいと思ったのだろうか。理由は頭で考えても見つからない。ただ、理由なんて見つからないほどに、私は家族が恋しくてたまらない。今すぐ会いたい。心がそう叫んでいる。
現実を見れば明日は仕事だし、仕事も立て込んでいるから帰ることなんてできない。往復2時間かけて車を運転するのは自分に対しての拷問だ。もはやこの疲労感満載の身体に鞭を打つことなんてできない。
ならば、今週末実家に帰ろう。そしてうさちゃんと遊ぼう。
父とこたつでみかんでも食べながら、さむいねぇ、、なんて他愛のない会話を交わそう。
母とやっぱりおこたはいいねぇ、、なんて言い合いっこしながらごろごろしよう。
弟はきっと仕事だからいないだろうな。まぁいいや。
週末を楽しみに、あと三日間仕事がんばろっと。おやすみなさい。