寝起きに泣いた。
訃報の連絡が入ったとか、怖い夢を見たとかではない。むしろとても幸せな夢を見た。寝起きで頭が冴え切っていなかったこともあり、自分がなぜ泣いているのか最初はよくわからなかった。全然悲しくないのにただ涙がぼろぼろこぼれ落ちる。
そのうち意識もはっきりしてきて、最初に発した言葉は「このままじゃだめだよなぁ」だった。
色々と理由を考えたが、あの涙の理由はきっと幸せな夢を見たからだろう。今の私にはとうてい手が届かないような幸福のシーンは、現実と比較することでより強調される。見た夢の詳しい内容は伏せておくが、人生に彩りがひとつ加わったそんな夢であったことは書き添えておく。
私は給与こそ少ないが安定した職に就いているし、食べるものや寝る場所にも困っていない。多くはないが貯蓄はあるので万が一何かあってもしばらくはやっていけるだろう。恵まれた生活をしていると思う。
一方で、現状に満足しきっていて、新しいことを始めたり自分の知らない世界に飛び出すことができないでいる。
努力次第で、あの夢のような幸福を手に入れることができるかもしれない。だから寝起きにあの言葉を発したのだと思う。色々考えすぎて結論がまとまらないが、ここで面倒臭がってなにもしないのはもっともやもやするから、答えが出るまでしばらく考え続けるだろう。こんなに悩んだのは久しぶりな気がする。
久々に豚汁を作った。あまりにも美味しくて、これ以上の幸せがあるだろうかと思った。昼間散々悩んでいたくせに、豚汁ひとつで心が晴れやかになるとは。
あれこれ考えず力を抜いていれば、もしかしたらいとも簡単に答えが見つかるのかもしれないな。
