自分でもかなりのハードスケジュールであることは覚悟していたが、もうノリでいってみよう的なかんじでアクセルを踏んだ。村上市から新潟市まではバイパスを使っても軽く一時間はかかるし、そこから高速でさらに二時間半は運転するので、正直体力持つかなと心配だった。20代の頃の様に10時間以上運転しても全然疲れ知らずな時代はとうに過ぎているわけで、前日の長時間運転の疲れもあり、頻繁に休憩を取らなければ継続的な運転はもはや不可能であった。
そんなこんなでのんびりだらだら運転し、途中雨上がりの虹を見て再び元気になりながら、夕方になってようやく会津若松に着いた。ここではあまり観光せず街の雰囲気を味わうだけと決めていたので、目的地に到着できただけで満足であった。
とは言いつつもなにも観光しないのはむなしいので、まずは行ってみたかった若松城(鶴ヶ城)を見て回ることにした。
はぁ~、地元松本城にはない入口の石垣が立派!朱色の廊下橋も趣があってよかった。
石垣、良いですね。
全体的にシュッとしたスタイリッシュなお城だなぁと思った。
夕暮れの淡い西日を受けて、ほんのりオレンジ色に染まった城がよかった。
月と城。17:30からライトアップされるとあったが、そこまで滞在する時間はないのでさっと見てお城を後にする。
敷地内にあった稲荷神社にもお参りをした。
あかいほっこを被った子ぎつねがかわいい。
たぶん巻物を咥えているのだろうが、お腹が空いていたせいかチーズ入りちくわにしか見えない。あれはおいしいね。
見事な建造物よりも、こういった感じのこじんまりとしていて素朴な建造物のほうが好き。参拝しているひとは皆無であったが、その寂しさも相まってなんだかいい雰囲気だった。
お腹が空いたのでコンビニに立ち寄った。景観条例でモノトーンになったセブンイレブン。クラシカルな配色でなかなか良い。寒かったのでゴマあんまんを買った。
若松城だけの観光は味気ないと思い、城からもだいぶ近い会津さざえ堂と白虎隊十九士の墓に行くことにした。参拝者用の無料駐車場があり便利。
時はすでに夕刻18時を過ぎており、仲見世通りの店もみな閉まっている。そして街灯がなくて暗い。役に立つだろうとアパートからヘッドライトを持ってきていたのでその灯りを灯しながら階段をのぼる。
人っ子一人ない階段を走って上ったらそれがなかなか愉快で、逆にこの時間帯に来てよかったと思った。私のことを誰も知らないこの街で、この場所をひとり占めしていると思うとたまらなく楽しくなった。誰かと旅行することはそれはそれで楽しいが、ひとりでしかできないこともある。
息せき切って上った後の夜景は美しかった。誰もいないところにいると安心する。心細くなるどころか、自分は今旅をしているんだなぁという気持ちになる。
会津さざえ堂。ここは街灯もない場所で、残念ながら暗すぎて特徴的な渦巻き形状はよく見られなかった。内部は螺旋構造にになっているそうで、時間的に中に入れなかったのが悔やまれる。
よく見られなくて残念に思いつつもせっかくなのでお参りをしお賽銭を投げ入れたら、いきなり灯りが灯った。どうやら近くにいた事務所の方が点けてくれたみたい。
龍などの木彫りがかっこよい。中に入れなくて残念だったなぁ。
歴史建造物は見ていて飽きることがない。
社会人になってからというもの、頭に詰め込んだはずの日本史はすっかり忘れてしまっているので、これを機会に学び直すのもいいかもしれない。
恒例の間違えてシャッター押したの図。幽霊みたいですが私です。
真っ暗すぎて写真を撮っていないが、白虎隊十九士の墓にも立ち寄った。
前日からエンジンのかかりが悪いこともあり、給油がてらバッテリーチェックをしてもらった。バッテリー液の残量はだいぶ減ってきているとのことだったのでついでに交換してもらい、ご厚意で2,000円の値引きをしていただいた。対応してくださった東北なまりのスタッフさんのお人柄がよく、とても癒された。この後5時間以上運転することになるが、彼の笑顔で疲労回復効果がじゅうぶんに得られたように思う。ありがとうございました。
普段仕事をしていると久々の旅行は非日常のように感じる節があるが、今回の旅行で私はその逆だと思うようになった。いつもと違う土地でいつもと違う行動をとり、感動的な体験をすることは確かに非日常のように思えるし、普段と違うということはそれだけで刺激になる。しかしその一方で、刺激が起こした感動の振れ幅は、実は普段の生活でたびたび訪れる幸せな気持ちと似ているのではないかとも思った。今回の旅行では少なからずいくつかのポイントで感動はしたものの、その感動は、仕事を終えアパートに帰りあたたかいごはんを食べたときの安堵感や幸福感と同じ類であるように思う。日常と同じ振れ幅であれば、あえて旅行して感動を増やす必要はないかもしれない。
だからと言って、今後旅行をまったくしないわけではない。むしろ、日常の延長線上ととらえ、もっと積極的に外に出たいと思っている。時間的、金銭的な制約はもちろんあるが、可能な範囲でまだ行ったことのない土地に足を運んでみたい。