16:30 下呂温泉着。
予約していた宿にチェックインをしたあと、下呂の街をぶらりと散歩することにした。
下呂温泉は人出がおおく、きっと人気の観光地なんだろう。とくに20代くらいの若い人が多いように見えた。
坂道をのぼったりくだったり。
旅の楽しみのひとつ、路地裏散策も堪能。民家があるので撮影はできるだけ控えた。
もうひとつの楽しみ。地元猫ウォッチ。一瞬目が合ったが、逃げるように去ってしまった。
梅の花がやさしい香りを放っていたが、その背後には廃墟となった旅館らしい建物がそびえたつ。
1時間以上ぶらぶらと歩き、いよいよ足が棒になったので無料の足湯で疲れを癒す。
足をあたためるだけで本当に楽になった。この後もしばらく歩くこととなる。
足湯の場所は白鷺の湯。大衆浴場だそう。今回は宿泊する宿にも温泉があるため外湯めぐりはしなかった。足湯だけ使わせていただく。
ちなみに、日記のタイトルはキリンジの楽曲「温泉街のエトランジェ」を拝借しております。
この時間の温泉街の雰囲気がいい。人も多く賑わっており、ひとりでいてもちっともさみしくはない。
夕飯は松園にて朴葉味噌定食(飛騨牛のせ)と高山の日本酒を。やや甘口の久寿玉 純米吟醸は飲みやすかった。
飛騨牛の下には朴葉味噌。おいしかった。残った味噌をちびちび味わいながら、日本酒を味わう。いい具合に酔いました。
岐阜のあちこちで「ケイちゃん」の文字を見かけた。なんだろうと調べてみたら岐阜の郷土料理なんですね。はじめて知りました。店内ではケイちゃん定食を頼む人も多かったな。
はじめて訪れる街で私のことを知らない人たちの群れにいると、自分が異邦人であるかのように思える。はじめて会う人と交わす会話、知らないことを聞くたのしみ。すれ違った人々とは、きっと永遠につながりを持たぬままそれぞれの人生を歩み進めるのだろう。
たびたびこの日記でも書いていると思うが、私はひとりでいても寂しさを感じない人間だ。そういう根源的な性格が、昔から家族にも友達にも「あなたって冷たい人間だね」と言わしめる所以かもれない。
しかし、この夜は違った。なぜだかとても寂しくなった。ひとりでなんでも楽しめるし行動もできる私が、この日ばかりは心に隙間風が吹くようなそんな気持ちを味わった。恥ずかしい話だが、宿に戻り湯につかり、窓から湯の街の明かりを眺めていると涙で視界がにじんだ。泣いたってなにひとつ解決しないのはわかり切ったことだが、それでもその夜の私は泣くことしかできなかった。
明日になればこの気持ちも晴れているだろうか。いつもと感じの違う布団にくるまり、闇に同化するように深い眠りへと落ちていった。