子どものようによく眠った。
カーテンの隙間から朝日が差し込んできて、たぶん7:00頃には完全に目が覚めていた。昨晩味わったさみしさが嘘だったかのように気持ちは晴れている。お酒をのみ酔ったせいでああなったのか、それとも知らない土地でひとりぼっちだったからあんな風になったのか、覚醒してしまうとその理由すらどうでもよくなった。私はほんとうに単純な性格をしている。
だけど、あの夜に感じたさみしさは、おそらく今後もたびたび感じることになるだろう。それは仕方がないことだとも思う。
目が覚めベッドから抜け出たあとは、朝湯につかった。朝のお風呂はきもちがいい。窓からは燦々と朝陽が差し込み、湯で濡れたわたしの裸体を光らせる。普段、自分の裸体をまじまじと眺めることはないのだけれど、あらためて自分の裸と向き合ってみると、けっして完璧ではない姿ではあるものの、なぜだかとても美しいなと思った。生の湿り気をまとった一糸まとわない姿というものは、流行の服でどんなに着飾っても到底敵わない美しさを内包しているのだと思う。
ともかく、朝の湯で元気になった。また、宿のオーナーであるご夫婦のお人柄もとてもよくて、気持ち新たに下呂の街を出発した。
高山までは下道でおよそ1時間半。途中、1回の休憩をはさみ、10:30頃に高山到着。
まずは高山駅横の観光案内所へ行き、お散歩マップを入手。そして、かねてから行きたいと思っていた真工藝へ直行。
内観の撮影はできないため、外観だけ撮影した。
真工藝さんは、鳥や干支などの動物たちを模った木版手染のぬいぐるみを製造販売している。生木綿に染めつけられたカラフルな色合いがかわいらしく、眺めているだけで気持ちが明るくなる。
さまざまな種類があったなかから、今回はキツツキ(赤)を買うことにした。他にも素敵な色形があったが、ふたつ目以降はふたたび高山を訪れたときに買うつもりでいる。次の楽しみを残しておきたいからだ。
自分への土産物を買ったあとは、のんびりぶらぶらとあてもなく街を散歩する。ただ街を歩くだけで楽しく、また目的もなにも設定していないため、気兼ねなく旅行できるのがいい。
恒例の地元猫ウォッチ。飼い猫でつんとおすましした猫だった。きっと優等生タイプだろう。
ぶらぶらぶらりと歩き、高山陣屋を見学。
敷地内には山茱萸(さんしゅゆ)という木の花が。青空に映える黄色。きれいですね。
玄関の間にある青海波模様。日本の伝統的模様って古さを感じさせないというか、ずっと昔からあるものなのに新しい感じがする。
真向い兎は打ち付けた釘を隠すためにあるのだとか。いたるところにいます。ずんぐりしていてかわいいが、ちょっとふてぶてしい感じもする。
こんなところにも青海波。縁起のある模様だそう。
台所の上部にはむき出しの梁。
刑事事件の取り調べ部屋。拷問セットが生々しさを訴える。
けっこう小さい。私くらいの小柄さだったらすんなり収まるだろうが、大人はきついだろう。エスパー伊東は楽々入るかもしれない。
3月21日の日記 その2につづく。