2週間ほど前、たしか夜寝る前のことだったと記憶している。そういえば、神聖かまってちゃんというバンドがいたなと、突然思い出した。
彼らの存在を知ったのは、23歳頃にmixiのマイミクさんが大絶賛していたことがきっかけだった。mixiについてはまた別の日記で書こうと思うが(当時のmixiはSNSのなかでもダントツに面白かった)、アングラシーン大好きなマイミクさんが狂ったように神聖かまってちゃんを推しており、彼の日記でなんどもその名前を目にした。当時、神聖かまってちゃんのなにが良いんだかまったく理解できなかったし、中居正広の音楽番組で放送事故したのをみて「なんじゃこりゃ!?」とかなり冷めた目で見ていたのだが(あの放送事故は実は演出だったかもしれない)、10年以上の時を経て、今、私は彼らの楽曲に心焦がされている。
およそ13年ぶりに聞いた彼らの曲は「夕暮れの鳥」だ。アニメ進撃の巨人のエンディングテーマだという。どこか懐かしさをおぼえるメロディライン、やさしいの子の声。放送事故時代の暴走していたバンド(の子)のイメージが一瞬にして崩れ去り、もっと聴きたいと思った。
その後に聴いたのが「33才の夏休み」だった。
曲は底抜けに明るくてポップなんだけれど、ところどころ歌詞の切なさに胸がきゅっと痛くなる。
「勇気を出せなかった事 結果がこのザマ
あの未来を避けたのは自分さ」
「きっとこの先は飼い猫だっていなくなる時が
失っていくんだもっと僕は色々と」
「空浮かぶ君の雲 寂しげ夏
甘酸っぱい可能性をまだ秘めている」
結果を見て嘆く人生ほど嫌なものはないが、私自身10代・20代の頃にああしていればよかっただとか時々思うことがある。30代はあらゆる物事を完璧に吹っ切れるような年代でもなく、そして過去を嘆くにはまだ早い。人生の夏をまだ謳歌していたいと願う30代は多いのではないかとも思う。
の子の書く歌詞をみてひねくれ者なんだろうなと思っていたが、きっと彼は実直で嘘のない人なのだと、この曲を聴いてそう思った。
良い曲を作るバンドはたくさんある。数えきれないくらいに。だけど、その中でも本当に真っすぐに、自身の心に深く突き刺さるバンドや歌手はほんの一握りくらいしかない。
神聖かまってちゃんを聴くと心が震える。このような事はほんとうに久々で、私自身ちょっと驚いている。