「お母さん。私、来月家を出る」
その時のぽかんとした母の顔を今でも鮮明に覚えている。
(写真は実家の玄関)
石油ストーブの上で湯たんぽ用のお湯を沸かしているその横で、私は母にそう告げた。母は驚きながらも「そろそろ出る時期かなと思っていた」と言った。父は相当ショックだったらしく、それからしばらくは寝込んでしまうことになる。
部屋探しは実に一日で決まった。日曜のある日なんとなく部屋を探そうとふらっと賃貸ショップに入り、条件を告げ、それを踏まえた三つの部屋を候補として出してもらった。早速物件を見に行き、最後に見に行った部屋の立地条件等が完璧だったため、担当者に「この部屋気に入りました、ここにします!」と興奮気味に伝えた。ほぼ即決だった。
恋愛でいうところの「ひとめぼれ」というやつだ。
その③につづく。