そういえば今日は父方の祖父の命日だったなと、ふと思い出した。先週は父方の祖母の命日、その三週間前は母方の祖父の命日だ。数年前まではその日が来ると毎年ちゃんと思い出していたものの、人が亡くなって十年以上経つと記憶がだんだんと薄らいでくるのだなと実感する。
思い出が薄れることは寂しいし、どこか悲しい気もする。だけどそれは当たり前のことで、私は今をちゃんと生きている、前を向いて歩いているのだなって思う。
空に浮かんでいる今日の月は満月だった。祖父母が亡くなって以降、満月を見ると空にポッカリと空いた穴のようだなと思うようになった。実はあの月は月ではなくてあの世の入り口なんじゃないか、亡くなった祖父母が月の穴からこちらをのぞいているんじゃないかって想像を膨らましていたっけ。祖父の命日に満月だなんて、なんだか心を見透かされているようでちょっとくすぐったい。