南東三階角部屋日記

四十代前半女性のひとり暮らし日記です。記録としての投稿がメイン。

11月29日 めがね

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漠然と感じる「なんだか生きるのがしんどい」という考え。ここ数日間ずっともやもやが消えずにいて辛かった。

 

今週は苦手な人と一緒に仕事をしたり、会社への不満が募っていったりしてストレス過多な日々を過ごしていた。そのストレスが溜まりに溜まって週末に身体の倦怠感という形で現れ、生ける屍のような週末を過ごしてしまった。二日間を無駄にしたと思う一方で、本当に疲れた時は何もせず、さらには何もしないことを受け入れたほうが良いと思っている。自分を卑下したり酷く責めるようなことをしないほうが精神的に楽だ。

 

日曜日の今日は午前中に美容院と買い出しへ出掛け、昼食はお好み焼きを作って食べた。食後ぼんやりとしていると、ふと、久々に「めがね」が観たいと思った。

 

 

映画「めがね」は2007年の日本映画で、「かもめ食堂」で有名な荻上直子監督の作品。何かから逃げるように「携帯電話の繋がらないところ(与論島)」へやってきたタエコが、民宿で出会う人々と少しづつ心を通わせていくというお話。

 

映画の中でタエコがこの辺で観光できるところはないか?と聞くシーンがあったのだが、民宿のオーナーとかき氷屋のサクラは「観光することろはない」と答える。疑問に思ったタエコはここに来た人は一体何をするのか?と聞き返すと「黄昏れる」と返される。最初、何もしないことに動揺するタエコだったが、何もせず黄昏れることが自身の心を解放してくれるのだと気がつく。

 

 

このご時世において、「何もしない奴は落ちこぼれ」「夢がない奴は負け犬」と言った半ば脅迫じみたメッセージを日々受け取って生きている私たちは、知らない間に「何もしないことは悪」だと思うようになってしまったのではないかと思う。そうした社会のメッセージは徐々に心を蝕み、「何もしない自分は恥だ」と悩む人々を精神的に追い詰めてゆく。

 

でも、「何もしない」ことは本当に悪なんだろうかと思う。みんながみんな壮大な夢を持っているのではないし、もっともっと!と高みを目指しているわけではない。淡々とした日々を過ごしながら些細なことに幸せを感じたり、時には何もせず黄昏れる時間を過ごすことも充分に幸福なことだと思う。

 

 

この映画は特に起承転結はなく淡々と流れていく日々を写しとった映画なので、人によってはつまらないと思うかもしれない。しかし、過剰な台詞や演出がなくてもすっと心に染み入る映画であることに間違いはない。そして、映画の一番の見どころはもたいまさこの存在感だと思っている。ほとんどセリフがないしシナリオ上全然目立つような役ではないのだけれど、なんとも言えない雰囲気がクセになる。

 

もたいまさこのようなそこに居るだけで落ち着く人ってなかなかいそうでいない。妙な不思議さを纏った女優さんだと思う。個人的にはとても好き。