毎週楽しみにしている「 鉄オタ道子、2万キロ」。今回は福島県・只見線の早戸駅。どの回も好きなんだけど、今回の「何もない」にスポットを当てた話もとても良かった。最後の方で道子が、
ここにはなにもない。
宿のご主人は、申し訳なさそうにそう言った。
たしかに、雑誌に載るようなアミューズメントスポットはないかもしれない。
便利なカフェやレストランもないかもしれない。
でも、それがどうしたと言うのだろう。
ここには、素晴らしいものがある。
ここには、「何もない」がある。
何もない場所に身を置きたくなったら、きっと私はここを訪れるだろう。
こんなことを言っていた。「何もない」がある。このセリフにぐっときた。
昔、私が22歳くらいの頃、地元の音楽イベントで東京からイケてる女の子がゲストとしてやってきたことがあった。スラリとした美人な彼女は長野に来た感想を「ここには何もない」と言った。確かに、大きくてきらきらと華やかでトレンド最先端な東京に比べれば、長野は何もない田舎に見えただろう。電車の本数は少ないし、アニメの放送は一週間遅れだったりするし(昔、ポケモンとかがそうだった)、人口だって東京の比にならない。彼女の目には「何もない場所」として映ったに違いない。
彼女の発言の真意は今となってはわからないし、そもそも悪意はなかったかもしれない。長いこと長野県に住んでいる私からみても、まあ、確かにここは充分に田舎だと思う。あの頃の私はまだ若くて彼女の「何もない」発言にちょっとムッとしたことをよく覚えているが、何より記憶に残っているのはイベントを主催したBさんの言葉だった。
「何もないから、何かができるんだよ」